仮想通貨相場分析【5月12日】
暗号通貨
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1.暗号資産市場の全体動向と主要銘柄の下落
火曜日の暗号資産(仮想通貨)市場は、ウォール街(米国株式市場)の下落に引きずられる形で全面安の展開となり、主要銘柄であるビットコイン(BTC)は8万ドル付近まで値を下げました。この下落により、暗号資産全体の時価総額は過去24時間で1.6%減少し、約2兆7,600億ドルへと縮小しています。
ビットコイン日足チャート
なお、市場の投資家心理を映し出す「ビットコイン恐怖と強欲指数(Crypto Fear & Greed Index)」は「42」を示しており、現在は過度な悲観でも楽観でもない「中立(Neutral)」の状態に位置しています。
仮想通貨データサイトのCoinGecko(コインゲッコー)によると、本稿執筆時点におけるビットコインの価格は80,262ドルで取引されています。これは前日比で1.7%安、前週比では1.3%安という水準です。
時価総額第2位のイーサリアム(ETH)はビットコイン以上の下落率を記録しており、前日比2.8%安の2,265ドルまで下落しました。これにより、週間での下落率は4.7%へと拡大しています。
イーサリアム日足チャート
時価総額上位20位以内の主要なトークン(アルトコイン)も、その多くが連れ安となっています。それぞれの詳細な値動きは以下の通りです。
ソラナ(SOL)は前日比で3.7%下落し、94ドル前後で推移しています。ただし、過去1週間のトータルでは10%の上昇をキープしています。カルダノ(ADA)は前日比4.2%下落しました。ハイパーリキッドのHYPEトークンは前日比3.5%安の40.32ドルとなり、週間では8.5%の下落を記録しています。リップル(XRP)は前日比3.5%下落し、1.43ドルとなっています。バイナンスコイン(BNB)は前日比1.1%下落し、653ドルで取引されています。ドージコイン(DOGE)は前日比で2.4%下落しました。
2. 米国マクロ経済指標(CPI)の影響
今回の市場下落の背景には、米労働統計局が発表した4月の消費者物価指数(CPI)の結果が大きく影響しています。
発表によると、4月の米CPIは前月比で0.6%上昇し、前年同月比では3.8%の上昇となりました。この前年比3.8%という数字は、2023年5月以来の極めて高い年間上昇率(インフレ率)であり、ダウ·ジョーンズが事前にまとめていた市場予想の3.7%をわずかに上回る結果となりました。さらに、価格変動の激しい食品とエネルギーを除いた「コアCPI」についても、前月比で0.4%上昇、前年同月比では2.8%の上昇となり、こちらも市場予想を上回る底堅いインフレを示す結果となっています。
このインフレ高止まりの主な要因はエネルギー価格の急騰です。4月のエネルギー価格は前月比で3.8%上昇し、CPI全体の上昇分のうち40%以上を占める結果となりました。
特に、地政学的なリスクに伴う中東の「ホルムズ海峡の閉鎖」などの影響を背景に、ガソリン指数は過去12ヶ月間で28.4%という驚異的な上昇を記録しています。また、住居費(家賃など)も0.6%の上昇と伸びが加速しました。その一方で、物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、実質平均時給は2023年4月以来、初めて前年比でマイナスへと転じており、個人消費の先行きに懸念が広がっています。
3. ビットコインETFの資金流出入とゴールドからのシフト
米金融大手のJPMorgan(ジェーピーモルガン)の分析によると、投資家の間では「通貨価値の減価(インフレによる現金の価値低下)に対するヘッジ取引」として、従来の「金(ゴールド)」に代わり「ビットコイン」がデフォルトの選択肢として台頭しつつあります。その証拠として、ビットコイン現物ETFには3ヶ月連続で資金が流入し続けている一方、金ETFは資金流出が目立ち、苦戦を強いられています。
暗号資産のオンチェーンデータを提供するSoSoValueの統計によると、米国市場に上場している現物ビットコインETF(全11銘柄)は、木曜日に2億7,750万ドル、金曜日には1億4,565万ドルの解約(資金流出)を記録していました。しかし、明けた月曜日には2,729万ドルの純資金流入を記録し、2日連続で続いていた下落トレンドに終止符を打ちました。
現在、これら11個のETF商品が保有する純資産の総額は約1,090億8,000万ドルに達しており、これはビットコインの総時価総額の約6.78%に相当する巨大な規模となっています。
4. ビットコイン(BTC)関連の個別ニュース
計算資源の通貨化とPoWの本質的な再評価
ビットコインが10年以上前からシステムとして実現してきた「仕組み」が、ここへ来て新たな通貨の概念として再注目されています。
最近行われたSpaceXやxAI(イーロン·マスク氏率いるAI企業)による大規模なディール(取引)により、「計算量(コンピューティングパワー)が貨幣として実際に機能する」という現実が証明される形となりました。そのため、「計算資源には貨幣と同様の機能が宿る」という仮説は、決して的外れな議論ではありません。将来的には、私たちが既存の法定通貨ではなく、計算量の単位(トークン)をベースにして様々な価値をやり取りするような社会の姿が、より現実味を帯びてきたと言えます。
実はビットコインは、誕生当初から「Proof of Work(PoW:プルーフ·オブ·ワーク)」というコンセンサスアルゴリズムを通じて、すでにこのアイデアを世界規模で実装し、証明してきました。仕組みのポイントは以下の通りです。
マイナー(採掘者)は膨大な計算(ハッシュ計算)を行い、莫大な電気エネルギーを消費してブロックを生成し、ビットコインのネットワーク全体を保護します。その計算の対価として新規のビットコインが発行されるため、計算資源がダイレクトに「貨幣価値」へと結びつく構造になっています。一部では「この計算能力をAIの学習など、外部の意味のある計算に利用すべきだ」という意見もありますが、それをやるとマイニングの競争環境が歪み、ネットワークのセキュリティが低下するリスクがあります。ビットコインはあえて「ビットコインの暗号解読にしか意味を持たない計算」に特化させることで、外部の政治や経済要因に左右されない、人類史上最も堅牢なシステムを維持しているのです。つまり、SpaceXやxAIの動きで現在話題となっている「計算資源=貨幣」という最先端の概念は、ビットコインが10年以上も前からすでに稼働させ、証明し続けてきたものに他なりません。この議論は、昨今のAIブームに伴う圧倒的な計算需要の中で、ビットコインのPoWの本質的な価値が改めて再評価されている文脈として、非常に強く注目されています。
日本取引所グループ(JPX)による東証上場の可能性
日本取引所グループ(JPX)のCEOは5月6日、Bloombergのインタビューに対し、「ビットコインを含む暗号資産の現物ETFについて、早ければ2027年にも東京証券取引所(東証)へ上場できる可能性がある」との見解を示しました。
先行事例である米国では、ビットコイン現物ETFの運用資産残高(AUM)が2026年4月に初めて1,000億ドル(日本円で約15.6兆円)を突破しており、制度化の成功モデルとなっています。もしJPXが日本国内での上場を実現すれば、少額投資非課税制度(NISA)の口座を経由して、日本の膨大な個人マネーが仮想通貨市場へ流入する経路が初めて誕生することになります。また、日本の機関投資家にとっても「国内の強固な法的規制の枠内で、安全にビットコインへ投資·保有できる」というルートができるため、極めて大きな歴史的転換点となります。
CZ氏が語る「未来のAIエージェントと仮想通貨」
世界最大の仮想通貨取引所バイナンスの創業者であるCZ(チャンポン·ジャオ)氏は、ARK Invest(アーク·インベスト)のキャシー·ウッド氏との対談の中で、「未来のAIエージェント(自律的に行動するAIプログラム)たちは、決済にVisaカードを使わず、仮想通貨を使うようになるだろう」と発言しました。
AIエージェントは自律的に判断して超高速で取引を行うため、将来的には人間の10倍から1,000倍もの膨大な取引量を社会に生み出す可能性があります。そのような時代において、国境を越える決済を行うにあたり、既存のSWIFT(国際銀行間通信協会)の手続きやVisaの決済網を利用するよりも、プログラムと親和性が高く、24時間即時決済ができるビットコイン($BTC)を利用する方が圧倒的に自然である、という見解です。
レイ·ダリオ氏の指摘「ビットコインはまだ安全資産ではない」
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター·アソシエイツの創業者、レイ·ダリオ氏は、「ビットコインは現時点において、本当の意味での安全資産(ブロックチェーンの特性上、取引が追跡可能でプライバシー性が低いことなどから)にはなれていない」と一石を投じています。同氏によれば、ビットコインは依然としてハイテク株(テック株)の株価と連動しやすく、金融市場の暴落時には真っ先にリスクオフとして売られやすい特性を持っています。
その一方で、伝統的な安全資産である「金(ゴールド)」に関しては以下の特徴を挙げています。
世界中の中央銀行が公的な準備資産として実際に大量保有している数千年に及ぶ長い歴史と圧倒的な信頼がある世界の金融システムにおける中核資産としての地位が揺るがないダリオ氏はこれらを比較し、「結局のところ、世界はまだ歴史的な裏付けのある金を最も信頼している」と結論付けています。
ウォール街の大手金融機関が仮想通貨人材の採用を拡大
金融の中心地であるウォール街の大手金融機関が、ビットコインや暗号資産関連の専門人材の採用を大幅に拡大しているとBloombergが報じました。
具体的には、JPMorgan(ジェーピーモルガン)、モルガン·スタンレー、BlackRock(ブラックロック)といった世界トップクラスの金融巨頭たちが、自社のデジタル資産部門において、エンジニア職やディレクター職(管理職)などの高度なポジションを大々的に募集しています。これにより、伝統金融と仮想通貨の融合がさらに加速していることが伺えます。
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