聖杯は存在するのか
FX
FX トレードにおける「聖杯」というのは必勝法と同義で「必勝法はない、つまり聖杯はない」とするのが一般的です。私もそう思っていました。
他方、ゴゴジャンで販売されているシステムトレードや売買シグナルの商品には異常に高い勝率を誇り確率的には必勝法、聖杯といってよいようなもの、少なくとも宣伝文句の上では、も多数見受けられます。
それらの中には多数の購入者を得ているものもありますが直近の成績が振るわず、ほとんどが賞味期限切れになっているものばかりだと思っていました。「そりゃそうだ、そんなものがあったとしたら買い手が殺到して同じタイミングで売買するからパフォーマンスが低下するに決まっている。だから永続的な聖杯はあり得ないし、ゴゴジャンの新規聖杯的商品の需要と供給も尽きることがない。」とも考えていました。
ところが最近、いつも見過ごしていたシステムトレードのトップページのリアル口座 EA 稼働率 (過去1カ月)の図表の上を偶然カーソルが滑ったとき、大小さまざまな丸印に EA 名、稼動期間、稼動件数、稼動率が表示されることに気づきました。
この図表なかなかよくできています。これを見れば稼動期間が長くて稼働率が高い優良な EA は一目瞭然。稼働率が高いというのは期待値あるいは実績値が高いことの反映です。
一際目立つのは右上に飛び離れた tagosaku USDJPY, 稼動期間 12 年 10 ヵ月、稼動率 64 % です。全期間のプロフィットファクター(PF)は 1.25, 勝率は 38.01 % です。決して高いとは言えないのですが損益曲線はほぼ右肩上がり、つまり EA を稼働して放置しておくだけで儲かるという意味では聖杯と言えなくもありません。但し、バージョンアップは頻繁に行われているようでそれが安定した成績をもたらしているのかもしれません。現在のバージョンは 26-2, 示されているバックテストの結果も 2005 年から 2017 年となっています。
損益曲線はほぼ右肩上がりとは言うものの発売開始の 2013 年から 2025 年までの 152 ヶ月のうち 56 ヶ月 (37 %) は損益がマイナスとなっています。年単位では 13 年間のうち 3 年間でマイナスですので開発者さんやゴゴジャンへの信頼、そしてなによりも大数の法則への信念がなければ運用継続時のストレスは大きそうです。
K-Behati_EURUSD_M30 は稼動期間 5 年 8 ヶ月、稼動率 72 %です。全期間のプロフィットファクターは 3.08, 勝率は 75.52 % と高いのですが難平タイプですので稀にではありますがかなり大きなドローダウンがあります。こちらは聖杯とは言えそうにはありません。しかしドローダウンに比較して十分な収益が見込めます (リスクリターン率 2.4) ので多くの人が長期運用しているようです。
というような訳で上記 EA 稼働の図表は必勝ではないにしても稼動して放置するだけで儲かる "準" 聖杯の検索にとても有用です。本当の聖杯はないか、極めてまれでしょうが稼動して放置するだけで儲かる「"準"聖杯」はゴゴジャンで販売されているがまだ売れていない EA の中にも多数ありそうです。バックテストのトレード数が多く、フォワードテストとの乖離が少ない EA のなかには"準"聖杯があるのではないかと考えました。
フォワードテストの実施期間とプロフィットファクターの変化とバックテストのプロフィットファクターとの関係を示す図があれば"準"聖杯の検索に便利そうです。しかし、そういうものはゴゴジャンのサイトにはありません。そこでやや雑ではありますがフォワードテスト PF インデックス (FTI) なるものを次のように定義してプロットしてみました。
バックテストの PF は大雑把に 1.15 位から 5 位までではないかと考えていたのですが中には 1.02, 0.97 とか 0.73 というのまであります。「USDJPY 大逆転」シリーズで、バックテストの PF が 1 以下であるのにフォワードテスト、公式運用は良好で購入者もいます (下図)。バックテストの PF 値の誤差は大きいでしょうし、宝くじよりはましだとは思いますが驚きました。
PF が小さい場合、FTI の符号が反転したり、異常に大きな値となりますのでバックテストの PF が 1.10 未満のものは割愛して一年分、プロットしたのが下図です。異常に大きな値や小さな値をそのままプロットしますと見にくくなりますので 200 % 以上は 200 % に切り下げ、-200 % 以下は -200 % に切り上げてプロットしてあります。
ほぼ万遍なく点が散らばっています。FTI が日数経過とともに 100 % に収束していく傾向は認められませんが変化しないということは PF が平均としては維持されていると解釈されます。つまり、新しい商品ほど現市場に適合しているはずだから好ましいとする必要はなさそうです。
FTI の中位数は 0-4 ヶ月で 59 %, 5-8ヶ月で 36 %, 9-12 ヶ月で 37 % でした。 FTI が正であれば儲かっているということです。36 % 以上であれば問題なさそうですからゴゴジャンの EA の半分以上は長期運用でも儲かる EA であると言ってもよさそうです。
逆に FTI がマイナスであるものは"準"聖杯ではないと考えるのは誤りです。短期間で計算すると"準"聖杯でも FTI がマイナスとなることがあります。tagosaku USDJPY でも月単位の損益でみた勝率は 63 % に過ぎません。年単位の損益でみた勝率も 77 % ですから 少なくとも半年から 2 年程度の FTI で EA を評価しないと"準"聖杯を誤って排除してしまう可能性があります。
というわけでゴゴジャンで販売されている EA の中には長期運用で儲かる"準"聖杯が多数存在する可能性があります。販売実績のあるものはそのうち、ごく一部です。売れていないから儲からないという訳ではないのです。残り物に福ありかもしれません。
"準"聖杯的 EA を検索する際に注意すべきはサンプル数の多さです。発売開始直後の派手な勝率、利益率の EA に注意を引かれがちですがサンプル数が少なく信頼性に乏しく、それらを選択するのは愚かなことです。一般に最低でも数百サンプルが必要と言われますので日数にして少なくとも 180 日つまり半年が正しく評価するために必要なのではないでしょうか。
日数が多ければそれで十分という訳ではありません。トレード数がひと月に数回ですと実質的サンプル数は激減します。下図のような EA はそういう意味で評価の対象外です。
トレード数が多ければそれで十分という訳ではありません。勝率が高い EAでは負けトレードのサンプル数が激減してしまいます。つまり勝率が高いEA は短い期間のフォワードテストで評価できませんので避けるべきです。次の例のような場合、最後の破綻を例外的稀な事象として許容することはできません。
同様に次のような低勝率で損小利大の EA も短い期間のフォワードテストでは勝ちトード数が少なく正しく評価できませんので避けるべきです。
私が推奨する"準"聖杯的 EA の検索法をまとめます。
① 発売開始後 6 ヶ月以上経過した EA
② 勝率が 35-65 % の EA
③ バックテストとフォワードテストの乖離が少ない EA (FTI > 50 %)
を対象とします。
公式の収益曲線が表示範囲 6M でほぼ右肩上がりのランダムウォークであることが確認できれば"準"聖杯である可能性が高い考えてよいと思います。全部ではないにしてもゴゴジャンで販売されている EA の十パーセント程度がそういう EA です。複数の EA を並行して稼働することにより収益を安定化することができますので異なるタイプのものからいくつか選んで短期的成績に一喜一憂せず粛々と運用しましょう。
いくつか収益曲線を例示します。
これは tagosaku USDJPY で理想的な収益曲線です。勝率 38.0 %, FTI 104 % です。
購入実績はありませんが tagosaku USDJPY の収益曲線によく似ています。勝率 39.5% FTI 62 % です。
これも購入実績はありません。勝率 41.8 %, FTI 109 % です。ここに示した 6 ヶ月では前半、ややもたついていますが月単位では連続プラスとなっています。
私が昨年 12 月に出品いたしました「虹の彼方 OTR2515」 はまだフォワードテストが 4 ヶ月目ですが比較的好調ですので数ヶ月先のこととなりますが是非、"準"聖杯候補としてご検討ください。
Somewhere over the rainbow
Way up high
There's a land that I heard of
Once in a lullaby
Somewhere over the rainbow
Skies are blue
And the dreams that you dare to dream
Really do come true
***
Somewhere over the rainbow
Bluebirds fly
Birds fly over the rainbow
Why then, oh why can't I?
If happy little bluebirds fly
Beyond the rainbow
Why, oh why can't I?
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よろしいですか?