仮想通貨相場分析【12月30日】
早いもので、今年もこの記事が最後となりました。
2024年にトランプ大統領が誕生し、そこから仮想通貨市場は大きな資金流入を得て、価格も大きく上昇し盛り上がりました。 2025年は仮想通貨に関する規制や法案が進み、着実にインフラが整ってきている状況です。
現在、貴金属や株価が大きく上昇していますが、金融資産全体が上がっているにもかかわらず、仮想通貨市場は11月の大きな下落からいまだ停滞したままでもあります。(一部のプライバシー系通貨は大きく値上がりしていますが) 現存する法定通貨(既存金融)とのパイの奪い合いという点では、貴金属や株価が優先されたのかもしれません。
しかしながら、これまでのブロックチェーンの信頼性やインフラの整備など、仮想通貨市場が世の中に果たす役割は、以前にも増して大きくなっていると感じています。 米国はステーブルコインを利用してドルの覇権を取り戻そうとしており、米国経済の流れに乗るという意味で、仮想通貨市場はその主流に位置しているのではないでしょうか。
年後半に市場が失速してからも変わらず購読を継続されている方、また、日本の仮想通貨税制が分離課税へ移行したことから仮想通貨に興味を持ち、新たに購読してくださった方もいて、私自身もこの記事の意義をますます実感しているところです。
来年以降も引き続き、仮想通貨市場にとって良い年となることを祈りつつ、この記事を今年最後のご挨拶とさせていただきます。
1. 年末の市場概況と主要仮想通貨の動向
クリスマス前の短期間に見られた上昇局面が落ち着き、現在はホリデーシーズン特有の静かな取引環境の中で市場全体が軟調に推移しています。
主要銘柄の動きを見ると、ビットコイン(BTC)は心理的節目であった8万8,000ドルを割り込み、イーサリアム(ETH)も3,000ドルの大台をわずかに下回る水準まで下落しました。今週の騰落率では、多くの大型株が1%から3%の下落を記録する中、ドージコイン(DOGE)とカルダノ(ADA)の下げ幅は一段と大きく、ともに8%の下落を記録しています。
投資家の動向を映し出すETF(上場投資信託)の状況についても、12月24日にはBTCとETHの両ETFから資金が純流出する結果となりました。仮想通貨市場全体では合計4億4,600万ドルの流出が記録されており、その内訳は以下の通りとなっています。
- ビットコイン(BTC):約4億4,300万ドルの流出
- イーサリアム(ETH):約5,900万ドルの流出
- リップル(XRP):約7,000万ドルの流入
- ソラナ(SOL):約750万ドルの流入
XRPやSOLには一部買いが入っているものの、ビットコインの大きな流出が市場全体の重石となっていることが分かります。
2. マクロ経済環境とコモディティ市場の対比
23日に発表された米国の第3四半期実質GDPが市場予想を上回ったことは、米国経済の底堅さを改めて印象付ける結果となりました。この強い経済指標は、本来であればリスク資産にとってポジティブに働くはずですが、今回は米国株式市場やコモディティ市場への追い風に留まりました。
特に貴金属市場の勢いは凄まじく、ゴールド(金)は2営業日連続、シルバー(銀)は3営業日連続で史上最高値を更新するという驚異的なパフォーマンスを見せました。しかし、こうしたマクロ環境の好材料は暗号資産市場には十分に波及していません。ビットコイン価格は続落しており、特に現物ETFからの継続的な資金流出が売り圧力を強める直接的な要因となっています。
また、長期的なサイクル視点で見ると、来年はビットコインの半減期サイクルにおいて、歴史的に最もパフォーマンスが悪くなりやすいとされる「半減期の翌々年」に該当します。このアノマリーが意識されていることも、買い控えの一因かもしれません。
3. テクニカル分析:BTCとETHの現状
ビットコインのチャートを詳細に分析すると、11月下旬からの下落局面を経て反発したものの、現在は8万7,000ドル付近の価格帯で「収束(持ち合い)」の状態にあります。
特筆すべきは、長期的なトレンドを示す「200日移動平均線(オレンジ色)」を依然として大きく下回っている点であり、テクニカル的には弱気優勢の局面が続いています。
イーサリアムについても、ビットコインと同様に3,000ドルという重要な節目価格の水準で値動きが収束しています。クリスマスから年末年始にかけては市場全体の流動性が極端に少なくなっており、ボラティリティ(価格変動幅)が抑えられています。ただし、流動性が低いということは、まとまった大口注文が入った際に価格が一方へ過剰に振れるリスクも孕んでいるため、注意が必要です。
なお、イーサリアムの200日移動平均線はビットコインよりも現在の価格に近い位置にあり、反発への期待感はイーサリアムの方がやや強い傾向にあります。
4. 貴金属市場の激動とシルバーの躍進
一方で、貴金属市場では急激な利益確定売りも見られ、一時的に全面安となりました。この日の安値を更新した際の変動率は以下の通りです。
- 金(ゴールド):-3%
- 銀(シルバー):-7%
- プラチナ:-12%
- パラジウム:-15%
こうした急激な変動は、それだけ短期間に莫大な買い注文が一気に集まっていたことの裏返しでもあります。今後はさらに大きな値動きが予想されますが、銀の価格推移を見る限りでは、比較的安定感を持って推移しているように見受けられます。
驚くべきニュースとして、銀の時価総額が半導体大手のNVIDIAを抜き去り、世界で2番目に価値の高い資産となりました。現在の銀の時価総額は約4兆6,500億ドルに達しており、コモディティとしての地位を確固たるものにしています。
5. 市場心理と2026年への展望
ビットコインの「恐怖·強欲指数(Fear & Greed Index)」は現在、大きく低下しています。市場は2週連続で「極度の恐怖(Extreme Fear)」状態にあり、本日の指数は「23」を記録しました。12月の大部分をこの底辺圏で推移しており、投資家の心理状態は冷え切っていると言えます。
こうした状況下で、2026年のビットコイン見通しについては専門家の意見が真っ二つに分かれています。
- 強気派の意見:PlanC氏は「歴史上、2年連続で下落したことはなく、来年は必ず反発する」と主張。また、BitwiseのCIOであるマット·ホーガン氏も強気の姿勢を崩していません。
- 弱気派の意見:ベテラントレーダーのピーター·ブラント氏や、Fidelityのグローバルマクロ責任者ジュリアン·ティマー氏は、来年を「停滞の年」と位置づけ、6万ドルから6万5,000ドル付近まで下落する可能性を指摘しています。
つまり、4年サイクルに従って低調な年になるのか、あるいはFRBの金利引き下げによる流動性増加がサイクルを上書きして資金流入を招くのか、予測が非常に困難な局面にあります。
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