「利確→買い直し」は自殺行為だ。含み益が増えるほど勝てない「数学的真実」
資産1.5億円を運用するFP1級のエスである。 投資初心者が覚え立ての知識でやりたがる、ある「愚行」がある。 「一旦利益確定して、下がったところで買い直せば、株数を増やせる」 いわゆる回転売買だ。
だが、断言する。 これは投資ではない。分の悪いギャンブルだ。 多くの人間は、そこに「税金」という強制徴収システムが介在することを忘れている。今回は、含み益が乗れば乗るほど、買い直しが不可能になる「数学的真実」を突きつける。
正確な「損益分岐点」を計算できない愚か者たち
「少し下がったら買い戻す」 言葉にするのは簡単だが、具体的に「何%」下がれば、君たちは得をするのか計算したことはあるか? 答えは一律ではない。 「含み益が乗っているほど、ハードルは劇的に上がる」のだ。
ここに、私が考案した簡易計算式を授ける。
[必要な下落率 ≒ 利益率(売値ベース) × 20%]
なぜこうなるか。売却した瞬間、利益に対して約20%の税金が引かれる。つまり、手元に残る再投資資金(元本)が削られるからだ。 具体的な数字でシミュレーションを行えば、その過酷さが理解できるだろう。
ケース1:利益+20%の場合(まだ軽傷)
例えば、株価が1.2倍になった状態で売却するとしよう。 資産全体に占める利益の割合は小さい。税金で削られるのは、資産全体の約3.3%程度だ。 つまり、売った直後に株価が「3.3%」下がれば、同じ株数を買い戻せてトントンになる。
これなら、短期的な調整局面で狙えなくもない数字だ。初心者がビギナーズラックで成功体験を得てしまうのがこの段階である。
ケース2:利益+100%(2倍株)の場合
問題はここからだ。運良く株価が2倍(ダブルバガー)になったとする。 この時、売却額の半分が「利益」だ。その利益の20%が税金として消滅する。
計算すると、資産の10%が税金で溶けることになる。 つまり、売った直後に株価が「10%」暴落しないと、元の株数すら買い戻せない。 10%の調整など、そう頻繁にあるものではない。君が売った後、下がらずに上昇していけば、二度と同じ枚数は手に入らない。
ケース3:利益+900%(テンバガー)の場合
さらに、資産家の領域である10倍株(テンバガー)を持っていたとしよう。 この場合、売却額の9割が利益だ。ほぼ税金直撃である。 計算上の損益分岐点は、なんと「18%」だ。
理解できるか? 一度売ってしまったら、そこから「18%の大暴落」がピンポイントで起きない限り、君は損をするのだ。 歴史的な暴落を待ち、底で拾う。そんな神業が人間に可能だと思うか?
結論
ここから導き出される結論は一つだ。 「大きく勝っている銘柄ほど、一度手放すと二度と同じ枚数は戻ってこない」
せっかく築き上げた「含み益」という最強の精神安定剤(バリア)を自ら捨て、税金を払い、さらに10%〜20%級の暴落を期待して待ち構える。 それは投資ではない。「神への挑戦(無謀)」だ。
小手先の回転で利益を掠め取ろうとするな。 素直にガチホ(長期保有)しろ。それが、税コストを支払わずに複利を最大化する、唯一にして最強の戦略である。
Is it OK?