【三通貨パリティで読むFX ─ 日常の“歪み”を稼ぎに変えるTriParity分析】第1回:相場は“理論どおり”に動くはず? ─ 毎日生まれる小さな歪みとは
第1回
相場は“理論どおり”に動くはず? ─ 毎日生まれる小さな歪みとは
この連載では、「3通貨パリティ(TriParity)という視点で相場の“歪み”を読む」という少しマニアックな世界を、できるだけ平易な言葉と図解イメージでお届けしていきます。初回は、そもそも私たちが日々向き合っている「相場の歪み」とは何か、そこから一緒に整理してみましょう。
1. 理論値どおりに動く相場なんて存在しない
教科書的には、為替レートは
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各国の金利差
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景気・物価・雇用などのファンダメンタルズ
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市場参加者の期待
といった要因を織り込みながら、ある程度“理論値”の周辺で推移すると説明されます。
しかし、実際のチャートを毎日追っていると、こう感じませんか。
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指標直後に「ドルだけ」が一瞬だけ飛び出して、すぐに戻る
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東京仲値の前後だけ、妙に一方向に片寄って終わる
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ロンドン時間の薄い板で、クロス円だけがスッと走ってストップを刈られて終わる
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コモディティのヘッドラインで、金(XAUUSD)だけが突出して、その後はヨコヨコ
こうした「一時的に噛み合わない動き」は、歴史的ショックのときだけ起きるものではありません。
むしろ “毎日・毎時間、必Oどこかで発生している日常現象” です。
この“噛み合わないズレ”こそが、本連載で扱う「相場の歪み」です。
2. 「トレンド」と「歪み」はまったく別物
ここで一度、「トレンド」と「歪み」を分けて考えてみます。
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トレンド:
金利差の拡大、景気サイクル、金融政策の方向性など、比較的長い時間をかけて形成される“方向性”。 -
歪み:
ニュースの出方、約定フローの偏り、アルゴの速度差などによって、「一時的に、ある通貨(あるいはペア)にだけ力が入り過ぎてしまった状態」。
トレードのチャンスは、もちろんトレンドからも生まれますが、短期の戻り売り・押し目買い、レンジ逆張りの多くは「歪みの解消」を取りに行く行為だと言えます。
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指標直後にドルだけが暴走したあと、「さすがに行き過ぎ」と戻りを狙う
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アジア時間にクロス円だけが過敏に反応し、ロンドン勢の参入で均されるのを狙う
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コモディティ通貨だけ先行して動いたあと、他通貨が追随してくる過程を取りに行く
感覚的には、みなさんもう既に“歪みトレード”をしているわけです。
3. では、その「歪み」はどうやって見つけるのか?
問題はここからです。
多くのトレーダーは、
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USDJPY
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EURUSD
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GBPJPY
といった 「1通貨ペア=2通貨」だけを見て判断 しています。
歪みを探すために使う道具も、
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ボリンジャーバンド(±2σ)
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RSI / ストキャス / MACD
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移動平均線のクロス
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サポレジ・チャネル
といった「1ペア完結型テクニカル」が中心です。
もちろん、これらのツールが役に立たないという意味ではありません。むしろ私自身、長い間お世話になってきました。
しかし、「相場の歪み」を本気で取りに行こうとすると、1通貨ペアだけを見ていては、どうしても見えないものがあります。
4. 1通貨ペアだけ見ていると、何が見えなくなるのか
例として、こんな場面を想像してみてください。
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NZDUSD が急落
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同じタイミングで NZDJPY も下落
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EURUSD もやや弱含み
チャートを並べて眺めていると、
「NZDが弱そうだな」
「いや、もしかしてドルが強いだけか?」
といった“印象”は持てるかもしれません。
しかし、「どの通貨が本当に主導しているのか」 は、最後まで曖昧になりがちです。
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NZDが売られているのか
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USDが買われているのか
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あるいはEURが絡んだフローなのか
主役が分からないまま、
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どのペアで建てるべきか
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どこまでが“歪み”で、どこからが“新しいトレンド”なのか
という肝心な判断を迫られることになります。
複数ペアを必死に目で追っても、結局、
「なんとなくこっちが弱そう」
「こっちの戻りを売ってみるか」
といったレベルでしか意思決定できない──
これが、「2通貨だけの世界」の限界です。
次の章は「5. 歪みを”敵”ではなく”味方”にするために」ですが、この先はお手数ですが、「閲覧申し込み」をしてご覧ください。投稿内容を10分程度にまとめた動画もご用意しています。
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