爆益ではなく低収益EAを推める理由と効果的な運用方法
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爆益ではなく低収益EAを推める理由と効果的な運用方法
FXの自動売買(EA)と聞くと、「短期間で資金が倍になる」「夢のような爆益」といったイメージを持つ方も少なくないでしょう。インターネット上には魅力的な宣伝文句が溢れており、多くのトレーダーが大きな利益を求めて高性能なEAを探し求めています。
しかし、爆益を謳うEAの多くは、それに見合うだけのリスクを内包しています。ハイリターンはハイリスクと表裏一体であり、一時の大きな利益の裏側には、いつか訪れるかもしれない「破綻」という大きな落とし穴が潜んでいるのです。
退屈さと引き換えに手に入れる「安心」
安定型、すなわち低収益型のEAは、確かに爆益型に比べると地味で退屈かもしれません。日々の利益は少なく、資金が増えていくスピードも緩やかです。しかし、この「退屈さ」こそが、長期的な資産形成において最も重要な「安心」を提供してくれます。
低収益型のEAは、リスク管理を徹底的に行っているため、破綻する確率が極めて低いという明確なメリットがあります。コツコツと利益を積み上げ、予期せぬ相場変動時にも耐えうる設計思想に基づいています。
むやみなロット増加は厳禁
「利益が少ないならロットを増やせばいい」と考えるのは非常に危険です。低収益EAは、推奨される運用資金とロットバランスがあって初めて安全性が保たれています。推奨値を無視してロットを2倍、3倍にすれば、当然リスクも同等かそれ以上に跳ね上がり、破綻率は爆益EA並みに高くなってしまいます。
また、運用資金自体を増やすことにも抵抗があるという声もよく聞きます。では、どのようにすれば安全性を保ちつつ、効率的な運用を目指せるのでしょうか?
複数EAの同時稼働という選択肢
そこで提案したいのが、「1つの口座で特性の異なる低収益EAを複数稼働させる」という方法です。
例えば、推奨運用資金30万円に対し0.1ロット指定のEAがあったとします。1つの口座に30万円を入金し、そのEAを稼働させるのが基本です。しかし、資金効率を上げたい場合、同じ口座に60万円を入金してロットを0.2に設定するのではなく、通貨ペアが異なる2つのEA(それぞれ推奨通り0.1ロット)を資金30万+α程度で稼働させるのです。
これにより、単純に1口座1EAでロットを2倍にするよりも、リスク分散の効果が働き、安全性が高まります。もちろん、基本ロットでの1口座1EA運用よりは危険性が増すことは認識しておく必要がありますが、ロット倍増よりは遥かに堅実なアプローチです。
なぜロット2倍より安全なのか?
同じEAを単純に2倍ロットにすると、DD(ドローダウン)も丸ごと2倍に膨れ上がります。
一方、別の通貨ペア・別ロジックのEAを組み合わせる場合、相関が低い最大DDのタイミングがズレることが多いため、総DDが重なりにくいのです。
これにより、リスクを抑えつつ収益の増加が期待できます。
成功の鍵は「組み合わせ」と「EAの質」
この戦略を成功させるためのコツは以下の通りです。
- 相関性の低い通貨ペアを選ぶ: EURUSDとUSDJPYなど、値動きの傾向が異なるペアを組み合わせることで、リスク分散効果が最大化されます。
- 最大ドローダウン(DD)のタイミングが重ならない組み合わせ: 過去のバックテスト結果などから、同時に大きな含み損を抱える可能性が低い組み合わせを選びます。
- 安定志向のEAを選ぶ: もちろん、組み合わせるEA自体が爆益型ではなく、安定志向であることが大前提です。
- EAのタイプに注意: 単一ポジション型や、マーチン無しのナンピン型など、リスクがコントロールしやすいタイプが適しています。ナンピンマーチン型は非常に危険なため、複数稼働には向きません。
そして最も重要な点として、この方法はマジックナンバーでポジション管理がきちんとできている、複数同時稼働(共存)OKのEAに限定されます。どのEAでもできるわけではありません。
EA運用の本質は「いかに破綻せずに長く続けるか」です。派手さはないものの、低収益EAはその目的に最適な選択肢です。爆益を追い求めるギャンブル的な運用ではなく、複数の堅実なEAを組み合わせることで、長期的に安定した資産形成を目指す。これこそが、賢い自動売買の運用方法と言えるでしょう。
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