不動産の闇を見た話。土地の売買では建築条件付きの意味は必ず知っておこう。
2人目の子供が生まれるので新しく住む戸建物件を探すため、家族3人で不動産業者へ行ったときの話です。
隣の席で、声の大きい地主と若い営業マンが打ち合わせをしていました。大きな声で話しているので、必然と声がこちらにも聞こえてきます。地主がやたらヒートアップしてましたが、地主の意見を要約すると...
- もってる土地を売りたいが、びた一文まけたくない。
- 少しでも高く売ってくれ!
私も投資物件を探していたことがあるので、こういう強気な地主はよく遭遇しましたw。強気な地主だな~と隣の席が気になっていたところ、若い営業マンはこう言いました。
営業マン:「ウチにまかせて下さい!「建築条件付き土地」で売れば高く売れます!」
トッティ:「え・・・!「建築条件付き」なのに高く売れる??この営業マン、ウソついてない?」
1.建築条件付き土地とは
建築条件付き土地とは、売主が「一定期間内に指定した建設業者で家を建てる」という「条件」をつけて買主に土地を売ることです。一定期間内とは概ね3か月以内という契約が一般的です。
建物がまだ建っていない土地(更地)を、「売主側が建物を建てるという条件付きで」土地を売るという契約です。土地を売った後で売主側が指定した建築業者で家を建てるわけです。
いうならば売主側が「うちで建物を建てるなら、土地を売ってあげてもいいですよ」という、売主側が上位に立っている契約です。
条件が付いていない土地(更地)には、基本的に買主はどんな建物を立てても自由なのに対して、建築条件付き土地には売主側で建物を建てるという条件(制約)が付くので、条件が付いていない土地(更地)よりも価格は割安になるのが通常です。
更地価格と建築条件付き土地価格の関係
- 更地の価格 > 建築条件付き土地の価格
2.不動産業者は建築条件付き土地で家を建てて利益を得る
その不動産業者は仲介だけでなく、建物建築の請負も担当している業者でした。これからわかることは、不動産業者は土地のみの売買で利益が低くても建物を自社で建築することで利益を出すことができます。
土地建物トータルで利益がでればいいので、土地は安く売ってもかまいません。買い手にとっては建築条件付き土地は安く土地が買える分だけ魅力的ですから、早く買い付けが入るというメリットもあります。
①建築条件の付かない土地(更地)として売る場合の業者側の利益と、②建築条件付きで土地を売って自社で建物を建てる場合の業者側の利益を天秤にかけると、②の方が業者にとって利益が出しやすいため、②の建築条件付きで土地を売ることを地主にすすめたんでしょう。
建築条件付きでは土地価格が下がるので、土地のみ売買としては業者の取り分である仲介手数料が安くなりますが、最終的に建物で利益が出ればいい、という考えです。
今回のケースを整理
- 不動産業者:土地を安く売っても業者側で建物を建てることで利益がでる。
- 買主:一定の制約はあるが、相場より安く土地が買えるので魅力的。
- (今回の)地主:土地を高く売りたかったのに...高く売れない。
3.不動産業界の情報格差
何もこういうことは珍しい話ではないんですよね。不動産業界(宅建業者)は情報格差により損をすることが多い世界です。不動産初心者はこのような宅建業者に残念ながらカモられることも少なくありません。
日本ではレインズ(Real Estate Information Network System:不動産流通標準情報システム)という不動産ネットワークシステムがありますが、その情報は登録している不動産業者(宅建業者)のみが閲覧でき、一般の人が閲覧することはできません。
情報が閉じられ広く共有されていないのです。日本の法制度で提供される情報に既に隔たりがあるので、手の打ちようがありません。ブロックチェーン技術により透明性が確保される等、今後の業界の発展を望みます。
今回のケースでも、地主が建築条件付き土地の意味を知っていたら「あれ?おかしいな」と思ったはずです。でも不動産業界にいない人が普通の生活をしてて、建築条件付き土地の意味なんて分からないですよね...。身近に不動産鑑定士がいればいいのですが。
うーん、不動産には本当に注意が必要ですね。。。今は不動産投資ブームの過渡期にありますが、この流れに乗り遅れまいと素人が安易に物件を買うのは本当に危険です。
今のところ、できるだけ知識を付けて身を守るしかありません。利回りの考え方について記事にしましたので、合わせてどうぞ。
4.まとめ
建築条件付き土地で売られる土地は、世の中に多くあります。土地を買うとき・売るときはこれだけは必ず覚えておいて下さい!
- 建築条件付き土地の価格は割安になる
- 不動産業者の話は全て正しいとは限らない
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