~買い場を示すサインなし~井上哲男 相場の潮流:潮流327 より
※本記事は、投資サロン 【井上哲男 相場の潮流】
2017年7月18日発刊のメールマガジンより転載をしています。
============================
潮流327 「ヒヨコとニワトリ」は疑問ではない
============================
(本「潮流」は、世界の利上げに向けた動き2 etcも兼ねています)
連載の途中であるが、場況も書くので変なフォームになるご無礼をお許し頂きたい。
日本の3連休中も米国市場は至って静か。MDに書いたように金曜日、昨夜とNYSEの出来高は7億株割れとなり、超閑散な商いに呼応するかのように、恐怖指数ことVIXは3営業日連続での10%割れとなった。
今年のボラの無さを嘆き続けてきたが、それでも3日連続でVIXが10%割れとなることはこれまで無かった。今年初、というよりも、計測している2005年以降で初めてのことである。つまり、「この10年以上で最も市場が恐怖を感じていない3日間」であったことになる。
当然のようにNo-Signは続き、日経平均の終値が前日終値から1%の乖離とならない状態も30営業日継続している。
それでは、外国人投資家の動向はどうかというと、週次の現物+先物の合計の傾きは、5月第5週(6/2までの週)から6月第3週(6/23までの週)の4週間で、合計1兆1500億円あまり日本株買越しの傾きを見せた(この間に、日経平均は446円上昇)後は、14億円の買い越し、1900億円の売り越しとなり、その2週間で日経平均は204円下落している。
以前に示した、外国人投資家の5週間の売買累計と日経平均の5週間騰落幅のグラフをアップデートする。
このグラフの主旨は、これまで、外国人が5週累計(赤線)で2兆円から2兆5000億円クラスの買い越しとなった場合は、日経平均がそれぞれ、700円、1000円超の上昇を示すものの(上部2本の緑補助線)、その後は、5週累計で5000億円から1兆円超クラスの売り越しがどこかのタイミングで出されることにより、日経平均は、それぞれ、1000円、1500円超の下落を示してきた(下部2本の緑補助線)というものである。
直近は、まず、Aの部分(4月第2週)で2兆円クラスの売り越しと1200円程度の日経平均の下落が起きた後に、Bの部分(5月第2週)で2兆5000億円の買い超と、日経平均1250円の上昇が起き、現在は丸で囲った部分にまで低下してきた状況である。
このグラフからも、買い場はまだ先であることが分かる。
さて、先週金曜日の「潮流」で、ソロスINDEXとドル円チャートを載せた。
主旨をおさらいすると、日米のマネタリーベースから、「ソロスINDEX=日本のマネタリーベース/米国の円換算マネタリーベース」を算出すると、その動きは、ドル円チャートに近いものとなるということであった。
これからのソロスINDEXがどうなるかは明らかである。
というのは、日銀は、昨秋に発表した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によってマネタリーベースの拡大継続を宣言しているが、一方の米国ではFRBがバランスシートの縮小に向けた“観測気球”を打ち上げた状態であり、先週金曜日の青線で示したようにこのINDEXは上昇することはあっても下落することは、少なくとも日銀が上記施策の方向転換を図るまで有り得ず、同INDEXは、結果的に赤線で示したようにドル高・円安の援護材料として存在しているということである。
さて、先週金曜日に示した、ソロスINDEXとドル円チャートにおいて、2期間のことを書いた。
それは、アベノミクス相場が始まってからの、「方向感は間違っていないが、あまりにも急激に円安が進んだ期間」と、「昨年の方向性に齟齬が生じた期間(その後、齟齬は解消)」である。
ここで、たまに、テクニカルアナリストがする、「おいおい、それは違うだろう」というグラフを敢えて示す。
添付した2枚目のグラフは、この2期間の動きをソロスINDEXに綺麗に説明させるために、同INDEXを15ヶ月遅行させたものと、ドル円チャートを載せたものである。
一見すると、説明力が高くなったように映るこのグラフは、論理的な矛盾を孕んでいる。それは何かを今日の宿題としたい。
ヒントは、「タマゴとニワトリ」なら疑問だが、「ヒヨコとニワトリ」は疑問ではないということ。
続きは投資サロンにて!
============================
よろしいですか?