材料豊富もポジションが拮抗 長期のトレンドは来週に判明か
米大手フィンテック企業による米仮想通貨取引所の買収、金融庁のICO規制検討など仮想通貨を巡る材料に尽きない一週間でしたが、マーケットはあまり反応しませんでした。
■長期では下落トレンドがいまだに続いている
2月下旬は仮想通貨に関する様々なニュースが飛び出しました。韓国が仮想通貨取引規制へのスタンスを緩和した事とは対照的に、日本では金融庁が差し止めを含むICOへの規制を検討。事業サイドでは、米大手フィンテック会社が仮想通貨大手取引所を買収した他、ハッキング騒動の渦中にあるコインチェックが大手事業会社や金融会社との資本提携を検討している事がマーケットに伝わるなどして、手掛かりになるような材料は尽きませんでした。
しかしながら、BTCの価格はこれらの報道にはほぼ無関心でした。紙面上の賑やかさとは対照的に、長期的には下落(チャートの下落チャネル)、中期的には上昇(チャートのサポートライン)の流れは崩さず、三角持合いを形成しています。
■なぜニュースに反応しないのか
初心者の方や他の相場に慣れ親しんだ方は、相場が新しく出た材料によって反応するものだと認識されているかもしれません。そうすると現在の相場は新情報にほとんど反応しないため、不可解に感じられるでしょう。
相場の動きについていけなくなった時は、原理原則に立ち返ることが重要です。
相場には、買いたい人と売りたい人がいます。あたりまえのようですが、この需給で成り立っているという点が肝です。
したがってニュースが出た結果、需給に変化があれば価格が動きますが需給に変化がなければ価格は動きません。必ず需給が変化するから相場が動く、という点を頭に入れておきましょう。
仮想通貨は全般的に価値の分析がとても難しいです。技術的な背景を持つ通貨なので、その技術がどの程度の影響を持っているか分からない以上、価値の水準感が検証できないのです。
このような点から、BTCは仕掛け的な駆け引きで価格が形成されているという最大の特徴がうかがえ(これが投機と言われる最大の理由です)、参加者の多くがチャートを参考にしていることからチャートに対して忠実にトレードする事の重要性が確認できます。
BTC相場では、チャートのフォーメーションをきちんと理解し、チャート上にたくさん線を引いて参加者心理を読む、という作業が情報収集以上に大切です。
■3月の展望
最初に述べたように現在のチャートは三角持合いを形成しています。これは一定期間の高値の切り下げと、一定期間の安値の切り上げがどこかで重なり、それぞれのラインで売っているプレーヤーと買っているプレーヤーがいる事から、どちらかに抜けると損切りが連鎖し相場が勢いづく、というパターンになります。
チャート上では、3/7-3/8付近で三角持合いが完了する形になっています。このため、どちらに抜けるかを待ってから、上に抜けたら買い、下に抜けたら売り、という戦略で見ています。
ただし、これまでの動きや投資家の心理的状況を換算すると、下落チャネルの織り込みが強そうな事から確率では下落方向に優位性があると見ています。その分、上に抜けたら焦りから一気に勢いづく可能性もあるので、上放れのシナリオでは思い切ってポジションを取るのも有効でしょう。
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【執筆者】
河田 西欧(カワダ サイオウ)
トレイダーズ証券市場部ディーリング課
スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。
世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。
学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。
趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。
「大衆は常に間違っている」が信条。
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