勝率37%でも儲かると言える理由 ー日本株システムトレード基礎講座④
勝率 37%でも儲かると言える理由
証券アナリストで、システムトレードに関するセミナー講師を担当しています、フェアトレー ド株式会社の西村剛(にしむらつよし)です。本講座では、ご覧頂いた皆さまが基礎から「シス テムトレード」を理解できるように、やさしい言葉とやさしい表現で解説していきます。ぜひ、 最後までお付き合い頂ければと思います。
今回のテーマは「勝率 37%でも儲かると言える理由」 です。では、中身に入りましょう。 「勝率 37.1%」のブレイクアウトの講座では、シンプルなチャネルブレイクアウト手法を例にして、初めてバックテスト(検証)を行いました。過去のデータを分析することで、その手法に 有効性があるかどうかを簡単に知ることができるシステムトレードについて、少しでも魅力を感 じていただければ幸いです。そこで、今回も「斉藤正章」氏が売買ルールを解説します。
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斉藤正章です。今回は、「勝率 37.1%」のブレイクアウトで行ったバックテストの結果をもと に、もう少し詳細な分析を行ってみたいと思います。
まず、チャネルブレイクアウトについて簡 単におさらいしてみましょう。以下がチャネルブレイクアウト(40 日間ブレイク)の売買ルー ルです。
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[買いルール] ・過去 40 日間の高値(終値で一番高い価格)を更新
[売りルール] ・過去 20 日間の安値(終値で一番安い価格)を更新
※売買は翌日の寄付き(始値)で行う └───────────────────────────────┘
続いて、以下がこの売買ルールに従って売買した場合の検証結果です。
┌───────────────────────────────┐
[検証結果] (テスト期間:2000/1/1~2008/5/16)
勝率:37.1%
平均損益率:+0.89%
平均保有日数:49.94 日
└───────────────────────────────┘
「勝率 37.1%」のブレイクアウトの講座でご説明した通り、平均損益率が+0.89%と一応は プラスになっています。つまり、売買を繰り返すほど儲かるルールということが言えます。もしかすると、勝率が 37%程度しかないのに儲かるルールということに 儲かるルールということに違和感がある方もいるかも しれません。では、儲かる理由について、簡単にご説明させていただきましょう。
例えば、5 回の売買を繰り返して以下のような結果だった場合、トータルの成績はどのように なるでしょうか。
┌───────────────────────────────┐
1回目:負け -10% 2回目:勝ち +20% 3回目:負け -10%
4回目:負け -10% 5回目:勝ち +20%
[結果] 2 勝 3 敗(勝率:40%)
合計損益:+10%
平均損益:+2%(+10%÷5 回)
└───────────────────────────────┘
このように、勝ちよりも負けが多いにもかかわらず、トータルでは儲かったことになります。 これは負けたときの損失よりも勝ったときの利益が大きいからです。つまり、勝率というものは 実際にはほとんど意味のないものであり、あくまでもトータルの あくまでもトータルの損益がプラスであるかどうかが 重要なのです。
そして、チャネルブレイクアウト手法はこのようなタイプ(勝ったときの利益が 大きいタイプ)に属するわけです。 さて、「勝率 37.1%」のブレイクアウトの講座でバックテストを行ったチャネルブレイクアウ ト手法の平均損益はプラスでした。つまり、売買を繰り返すほど儲かるルールということになりますが、それをもう少し詳しく見ていきましょう。
グラフなどがなく、申し訳ございませんが、この売買ルールで売買を開始した2000 年あたりは歴史的な下落相場の真っ只中であり、2003年の春に日経平均が 7000 円台をつけるまで、ほぼ一方的に下げ続けた相場です。このような相場でチャネルブレイクアウト手法を使っていても、資産はどんどん減り続けていることになります。 一方で、2003 年春以降に始まり、2005年の末まで続いた上昇相場では大きく儲かっている のがわかります。
つまり、この手法を使用していると上昇相場では儲かり、下落相場では損をするということがいえるのではないでしょうか。 ただし、もうひとつ注目していただきたいのは、下落相場による損失に比べ、上昇相場での利益のほうがはるかに大きいため、「長期的にみれば儲かるルール」ということはいえそうです。
相場が永久に下げ続けないかぎりは儲かる可能性が高いとはいえ、さすがにこのまま使うには少々 頼りないかもしれません。 そこで「勝率が 4%上昇」有効性の高い売買ルールを修正するの講座では、このチャネルブレ イクアウト手法にちょっとした工夫をして、もう少しだけ使えるルールになるようチャレンジし てみたいと思います。是非、そちらもご覧下さい。
斉藤正章
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斉藤正章さんの、売買ルールの解説はいかがでしたでしょうか?
以上が、勝率 37%でも儲かると言える理由でした。
よろしいですか?