10月21日週の相場観 ~YEN蔵のリアル・トップ・トレーディング
本記事はYEN蔵のリアル・トップ・トレーディング10月21日号配信内容より一部転載してお届けしております。
【相場観】
先週は円安、株高とリスク選好の流れが継続しました。中国商務省は合意したフェーズ1の文章作成を進めフェーズ2の段階の協議も始めているとしました。また先週の最大の注目材料であった英国のブレグジットを巡る展開も好材料となりマーケットをサポートしました。
英国とEUの合意に対する期待感がたかまるなかで協議が続き、17日に英国案に対するEUの合意が得られたことでポンドが上昇しました。
今回米中協議の合意に続き、ブレグジットが合意され10月31日に離脱する期待でポンド主導のドル売り、しかしリスク選好で円売りという流れで円安が週を通じて続きました。
しかし19日の英国議会でのどんでん返しがありました。37年ぶりに土曜日の審議を行いジョンソン首相とEUが合意した離脱協定を採決するはずでした。
ジョン・バーコウ下院議長は協定案に対するさまざまな修正案のなかから、元保守党のオリバー・レトウィン議員の案を審議することを決定しました。
この法案はさまざま離脱協定関連法案が成立するまでは下院による離脱協定案承認を棚上げするものです。さまざまな離脱関連法案の成立には10月31日までは難しいので首相はブレグジット期限の再延期をEUに要請しなければならないというものです。この修正法案は322対306の賛成多数によって成立してしまいました。
投票結果を受けてジョンソン首相は、EUと離脱延期を交渉するつもりはないと述べ、31日の離脱派なんとして実現すると強調しました。政府は離脱協定法案を提出すると述べました(22日という説がありました)
コービン労働党党首は首相が法律を無視して議会を脅かしていると述べ、下院院内代表のイアン・ブラックフォード議員は離脱延長の要請を行わないなら法廷に立たされると忠告しました。
修正案可決の時点ではジョンソン首相がどのような手を打つか明らかになっていませんでしたが、その後はEUに離脱延期法に基づいて書簡のコピーは送ったがサインをしませんでした。それとは別の書簡で離脱を先送りしたくないとの書簡にサインして送付したとのことです。ティム・バロウ駐EU大使は別の書簡で、離脱延期を要請する書簡は法律に従うために送っただけと説明しています。
トゥスクEU大統領は延期要請は受け取ったが詳細には言及していません。
月曜日はポンドが売られリスク回避の動きになることが予想されます。ジョンソン首相が法案どおりEUに対して離脱延期を申請しましたが(それをEUが受ける保証はありませんが、EUとしても合意なきブレグジットの引き金を引く気はないでしょう)それをしっかり実行すれば合意ある離脱の流れは続くのでポンドの下落は限定的になる可能性はあります。しかしジョンソン首相が延期阻止のために奇策にでたは場合はポンドの下落が大きくなり、その場合はポンド円主導の円高からリスク回避、株安の流れとなる可能性は十分あります。
今週24日にトルコ中銀政策金利発表、ECBの政策金利発表があります。ECBは据え置きでドラギ総裁の退任セレモニー的なものになるのではないでしょうか。FOMCを前にしたブラックアウト期間で当局者からの発言はありません。その中で24日の米耐久財受注の、新築住宅販売の数字が注目されます。
先週までのリスク選好モードがどこまで崩れるのか探る週になると予想します。
【ドル円の材料と予測】
先週のドル円は108.43オープン、108.41クローズで0.02%の下落となりした。レンジは91銭と狭く値動きに乏しい週となりました。14日に米中合意の第1段階に似ついて中国は詳細をつめるための協議を今月中に開始したいとの意向で、署名に合意するのはその後という報道があり、合意に対する懸念から108.03まで下落しましたが、そこが週の安値となりました。
15日には英国とEUの離脱草案の合意に近づいているとの報道でポンドが急騰しポンド円主導でドル円が108.90付近に上昇。
17日ブレグジットを巡る協定案に合意の報道で108.94と週の高値に上昇しました。
その後は108円台後半で揉み合いましたが、108.41で終了しました。
14日の中国の報道以外にも16日に中国外務省は15日に米国が香港人権・民主主義法案を可決したことに「米国の決定に対し主権を守るために効果的な対策を採る」と法案成立にたいし(トランプ大統領の署名が必要)報復措置を取ると警告しました。先週はブレグジットに隠れて米中問題が材料になりませんでしたが、リスク回避の場面になれば米中の反発が円高の材料になる可能性は十分にあり注意が必要でしょう。
10月1日に発表された日銀短観の大企業製造業の想定為替レートは7月の109.35から108.68に下方修正されました。現在1ヶ月のスワップのディスカウントは25銭ほどですから、3月末までの為替予約を確定する場合108円確保なら109.20~30円、108.58確保なら109.80~90円からは輸出勢の売りが本格化する可能性があります。しかし108.50~109円付近が何度も止められていたことを考えると108.50から上は輸出勢の売りがそれなりにでていた可能性はあり、それらのドル売りがドル円の頭を抑えた可能性があります。
IMMの通貨先物円のポジションはロングが6387枚減少、ショートが11266枚増加してネット6641枚の円ショートに転換しました。
109円台がレジスタンスになったことでドル円は一旦天井を付けたと思われます。短期のRSIも80%まで上昇しており、英国議会での決定を明けはポンド円主導の円買いが予想されます。
週間ピボットが108.46で120日移動平均線が108.10、週間ピボットのサポート1が107.98、20日移動平均線が107.95隣108円付近がまずサポートとなるでしょう。
一目均衡表の転換線が107.85、基準線が107.70、週間ピボットのサポート2が107.55となり107円台中盤が次ぎのポイントになります。
このレベルを下抜けした場合は週間ピボットのサポート3が107.07、一目均衡表の雲の上限が106.90となり107円付近への下落が予想されます。
一方で下落が限定的で107円台前半がサポートされる場合は、再度109円をテストし前回高値の109.30~40を試す動きになるでしょう。
…以下、投資サロン本編では下記コンテンツが含まれます
【ユーロの材料と予測】
【豪ドルの材料と予測】
【日経平均の材料と予測】
【週間レンジ・フィボナッチ・ピボット】
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