第1回 読者の皆様にお伝えしたいこと(相場を読み解く方法)
■2016年を簡単に振り返る
「申年は騒がしい年になる」という格言のとおり、2016年は激動の年でしたね。ドル円相場を中心にしながら株価などを振り返ってみると、今年は年明け早々サーキットブレーカーの導入された上海株の暴落からスタートし、ようやく自律反発局面に入ったかと思いきや、2月には日銀があの悪名高いマイナス金利の導入をしたことで、株安から大幅な円高へとつながりました。
また、この時は原油安にも悩まされました。アメリカのシェール革命の供給増に端を発し、中国経済の停滞による需要減、さらにイランの経済制裁解除によって産油国として市場に戻ってくるという、トリプル要員で1バレル=30ドルを割り込みました。
この後、3~5月は一進一退といった感じでしたが、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを避け続け、また利上げ回数も大きく減らす見通しとなったことで、ドル円は何度も何度も叩き落されるという格好でした。
そして、6月にはイギリスがまさかのEU離脱で年初来安値を記録しました。開票直前まで残留といった見通しだっただけに、ネガティブサプライズによるショック商状的な円高が発生しました。
7月以降は停滞した相場が続きましたが、11月の米大統領選挙で大方の予想を裏切ってトランプが勝利し、トランプラリーで一気に急騰という流れとなっています。
■読み解くヒントをお伝えします
まさに乱高下と呼ぶに相応しい2016年でしたが、おそらく、ここまで急激な相場の上下を予測できたエコノミストは皆無かと思われます。6月のBrexitで1ドル=100円を割り込んだ場面では、将来的には90円、いや80円と、もはや円高に歯止めがかからないのではないかといった声が上がり、トランプ相場で1ドル=118円を回復した途端、今度は130円、あるいは140円といった強気な見方が増え始めています。
このように乱高下とコロコロ変わるエコノミストの発言を見るに、相場を1年といった単位で予測するということ自体、意味がなくなりつつあるのかもしれません。
最近はアルゴリズムやAI(人工知能)といった新技術の開発はもとより、各国の金融政策に関しても、これまでの常識では考えられないような手法となっていますから、古典的な考え方をベースにした予測というのが当たらなくなっているのかなといった気がします。
そもそも、自分の予測に自信があるのであれば黙ってそれに従えば良いわけで、わざわざ公開する必要もないでしすし・・・。
それから、ゆきママ自身も予測のバイアスがかかりすぎてしまって、2016年の序盤から中盤にかけての円高の流れにはなかなか対応できませんでした。この反省から、むやみに予測して相場に対する先入観を持つべきではないとも考えるようになりました。
なので、この連載ではレートがどうなるといったことに主眼は置いていません。その時その時で可能性が高そうなシナリオや、備えておくべきリスクを読み解いていくのがベターでしょう。そのために、各国の政治・経済状況における見どころや押さえておくべきポイントをなるべく詳しく解説していきます。
■連載予定とその内容について
さて、それでは次回以降の連載内容について、詳しくお伝えしていきたいと思います。タイトルについては以下のようになっています↓
第2回 ドル高トレンドは継続するか(トランプ政策の注意点)
第3回 円と日銀&原油はどうなる(サウジアラムコ上場へ)
第4回 EUは危機だが崩壊はできない(欧州選挙とユーロ)
第5回 2017年のゆきママはこうする(NYダウは魅力的)
第2回は、皆様が最も気になっているドルについて解説していきます。急ピッチで上昇が続いたこともあり、不安に思っている方も多いことでしょう。トランプ政策の見どころやアメリカ経済の注意点はどこにあるのかなどを検討していきます。
第3回は、第2回で書ききれなかった続きとして、円と日銀について、そして原油もテーマです。時価総額世界最高と目されるサウジアラムコの上場が何を意味するのかなどを含めて解説していきます。
第4回は、EUです。今年のメインテーマとも言われており、EU崩壊といった指摘も増えてきました。ただ、EUというシステムのメリットを考えると、小国は出て行き難いといった現実もあるので、その辺も踏まえてユーロがどうなるかを考察しています。
最後の第5回は、とりあえず現時点でのゆきママの考え、2017年はどう行動するかについてまとめておきたいと思います。
以上になります。少しでも皆様のお役に立てるような読み物にすべく、頑張って制作させていただきましたので、ぜひ最後までお読みいただけますよう、よろしくお願いいたします。
よろしいですか?