仮想通貨の仕組みを理解する
仮想通貨の仕組みで重要なのは、
「P2P(ピア・ツー・ピア)」と「ブロックチェーン(Blockchain)」
になる。
ピアとは、Peer=同格者という単語で、インターネットに直接接続されたコンピューターの集まりで、
パソコン端末同士が直接・対等にデータをやり取りして実行する、コンピューティング方式を意味する。
従来は、サーバーを介して、情報をやりとりするのが主流だったが、現在は、管理者がいなくても、やりとりが可能となっている。
インターネット電話で有名なSkypeは、このP2Pを利用したサービスになる。
ブロックチェーンの「ブロック」とは、取引記録のことを指す。
一定時間に発生した取引が、まとまっているもの。
「ブロック」の情報が「チェーン」としてつながり、ネットワーク上に分散する形で、利用者に渡っていくことになる。
全ての取引が、ブロックチェーンに蓄積され、ネットワーク上に分散して保管されるため、どこか1つのサーバーを攻撃して、取引を中止させたり、乗っ取ったりができず、取引履歴をネットワーク参加者がチェックできるので、不正や改ざんが発生しない仕組みになっている。
また銀行のような中央の組織により作られたルールの元で取引を強制されることなく世界中の人と自由に取引が可能となっている。
銀行での取引を思い出してみると、
例えば、AさんからBさんにお金を送る場合。
Aさん→銀行→Bさんといった形で、銀行を挟み手続きすることとなる。
この際、銀行のシステムを利用しているため、利用料が徴収される。
もしAさんが、口座残高以上のお金をBさんに送る指示を出した場合は、
銀行は、残高不足のため送金できないと、指示内容にエラー判定を出す。
また、Aさんの口座資金に不明な点があった場合は、銀行は送金を停止して、口座を凍結するなど、銀行が手続き・管理・判断し、全ては裁量で決定されている。
仮想通貨であるビットコインの場合は、P2Pとブロックチェーンを利用した仕組みで、銀行のような中央組織を介さず、AさんからBさんへ直接送金することが可能なので、手数料が安く抑えられ、短時間で取引が完了する。
◯ビットコインの仕組みを理解する
ビットコインが創りだされたのは、ナカモトサトシ氏が2009年に作成した論文
「Bitcoin:A Peer to Peer Electronic Cash System」
がキッカケとなっている。
論文の中で、
「1つの電子コインは、連続するデジタル署名のチェーンと定義される」
とされ、
・管理者が通貨のコントロールしない
・世界中のコンピューターを使用して通貨を管理する
・暗号化の技術と不正な
複製・使用を禁止できる仕組みで、信用力を持つ
が特徴として挙げられ、暗号通貨=クリプトカーレンシーと規定されている。
この論文をきっかけとして、さまざまな技術者によって作り上げられたのが、ビットコインになる。
ビットコインは、ブロックチェーンとP2Pを利用しているため、各国の通貨のように発行する中央政府・銀行を持っていない。
「miner」というビットコインを採掘するためのソフトがあり、そのソフトによって、流通量と発行タイミングが調整されている。
ビットコインを掘り当てたいと考える人が少なければ、早い時間で掘り当てることができ、掘り当てたいと考えている人が多くなれば、より多くの時間が必要となる。
通貨としてではなく、「金」として考えるとイメージしやすい。
「金」は、自然の鉱物なので、中央政府・銀行によって発行・管理されていない。
採掘が難しく、埋蔵量に限りがあるとされていることから、
世界中の人が、「金」に価値があると考え、価格が決定されている。
ビットコインも、埋蔵量が限られており、2140年に上限である2,100万ビットコインが掘り出される予定となっていて、「金」と同じように、価値を持ちうる仕組みとなっている。
またビットコインは、P2Pを利用しているため、中央のサーバーが無く、コンピューター端末間を相互に直接接続し、データを送受信するので、サーバーを攻撃されることがなく、取引停止となることがない。
さらにすべての取引情報は、ネットワークの帳簿の中に永久に記録され、ビットコインの帳簿を、偽装や改ざんができないようになっている。
電子署名が付けられた状態で、暗号化された情報は、ビットコインネットワークに送られて、数分で認証作業が完了すれば、受け取り側はビットコインが利用可能となる。
個人から個人へ直接送付することが可能となっているので、多額の手数料を支払う必要がなく、アカウントを凍結されることもない。
ビットコインは、暗号アルゴリズムにより、二重使用することができず、安全性・匿名性が確保されており、埋蔵量を限定することで、市場価値を保つ仕組みとなっている。
◯ブロックチェーン技術の様々な可能性
我々が生活していく上で、頼っている中央の組織。
銀行や市役所などは、ブロックチェーンを利用することで不要になる可能性がある。
たとえば、不動産の登記簿も、ブロックチェーンを利用すれば、改ざんされることなく、不正に移動されることなく、管理が可能になる。
選挙も、ブロックチェーンを利用して、各メンバーに1票ずつ配布することで、不正が一切できない国民投票システムを構築することが可能になる。
病院のカルテも、ブロックチェーンを利用することで、医師による改ざんや、火事などでデータが消滅することがないシステムを構築することが可能になる。
通貨だけではなく、情報管理ができるという点で、ブロックチェーンの可能性は無限であり、注目されている。
金融、サプライチェーン、ライフスタイル、プラットフォームなどの分野で応用が可能といわれており、多くの技術者が開発に取り組んでいる。
(購入者への公開はこの部分を書き換えてください)
よろしいですか?