ICT理論 × 機関投資家・スマートマネー|その①『機関投資家とスマートマネー、オーダーブロック』
ICT理論(Inner Circle Trader 理論)とは、価格の動きの背後にある機関投資家の戦略や心理を理解し、優位性のあるトレードポイントを見つけるための理論です。単なるテクニカル分析ではなく、市場の「流れ」や「仕掛け」を読み解くことに重点を置きます。
このマガジンでは、チャート分析の実例や強気・弱気FVG、スマートマネーの意図を踏まえたトレード戦略など、ICT理論を実践的に応用するためのノウハウをご紹介します。個人トレーダーでも機関投資家の動きを理解し、自分のトレードに活かせる情報を体系的に学べます。
まず、「機関投資家」と「スマートマネー」という用語から整理します。
機関投資家とは、銀行や証券会社、ヘッジファンドなど、巨額の資金を運用する投資主体のことです。彼らの目的は市場から安定的に利益を確保することであり、短期足の値動きに振り回されることはありません。計画的かつ戦略的に長期足を見て資金を投じます。個人投資家の多くは短期的なチャートの動きやニュース、経済指標に反応して売買しますが、機関投資家は市場に大量の注文を一度に流すと価格を大きく動かしてしまうため、段階的にポジションを仕込みながら慎重にエントリーしていきます。
ここで活用されるのがスマートマネーという概念で、いわば「賢い資金の流れ」を意味します。ICT理論を学ぶ理由の一つは、このスマートマネーの動きを捉えることにあります。つまり、機関投資家がどの価格帯でどれくらいのポジションを積み上げているのかを読み解き、その流れに便乗することが、個人投資家にとって勝率を高める有効な方法となるのです。
市場を動かしているのは機関投資家です。彼らの仕込みポイントを「オーダーブロック(OB)」と呼びます。これを見抜くことで勝率は劇的に向上し、チャートの見え方も大きく変わります。
もし、皆さんがエントリー後にPCに張り付いてしまうタイプのトレーダーであれば、ICT理論を学んだあと、トレードがぐっと楽になるでしょう。
本シリーズでは、筆者が自身の経験を通じて学んだことをもとに、多くの方にこの理論を紹介し、安心して勝てるトレードを身につけてもらうことを目指しています。ご興味のある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
機関投資家 vs 個人投資家の決定的な違い
多くの個人投資家は、ブレイクアウトを追いかけて高値で買い、安値で売ってしまいます。さらに、含み損を抱えるとメンタルが崩れ、感情的な取引に走ることも少なくありません。限られた小額資金で一発勝負を狙うため、結果的に市場に翻弄されることもあるのではないでしょうか。
機関投資家はまったく戦略が異なります。彼らは市場の流動性を狩り取り、安値で仕込み、高値で売り抜けることに徹底しています。短期的な感情に左右されることはありません。トレードは計画的かつ緻密に行われ、巨額の資金を段階的に投入していきます。その資金力は個人投資家の何百倍、何千倍にも及び、マーケットに大きな影響を与えるほどです。
だからこそ、私たち個人投資家が成功するためには、機関投資家に逆らうのではなく、その流れに乗ることが何よりも重要になります。彼らの戦略を理解し、同じ目線で市場を見ることが、勝ち続けるための鍵となるでしょう。
勝てない個人投資家にみられる行動
ブレイクアウトを追いかける
高値で買い、安値で売る
メンタルが崩壊して、感情的なトレードをしてしまう
小額資金で一発勝負に出る
機関投資家の戦略
流動性を狩る
安値で仕込み、高値で売る
計画的な取引
巨額資金での段階的仕込み
機関投資家の資金力は個人の何百倍・何千倍です!
それに逆らうのではなく、流れに乗ることが成功の鍵🔑
機関投資家の仕込み戦略
オーダーブロック(OB)
オーダーブロック(通称、OB)とは、機関投資家が大量注文を仕込んだ痕跡のこと。彼らの資金は莫大で、一度にすべての注文を市場に流さず、分割して段階的に仕込みます。その際にチャート上に「痕跡」として現れるのがオーダーブロックです。強気のオーダーブロック(通称、Bullish OB)は、急騰が始まる直前に形成された最後の陰線群です。これは機関投資家が買いを仕込んだポイントで、将来的に価格が押し戻された際の押し目買いポイントとして機能しやすくなります。つまり、過去に機関投資家が買いを支えた水準は、再び強い需要を生みやすいのです。
逆に、弱気のオーダーブロック(通称、Bearish OB)は、急落が始まる直前に現れる最後の陽線群です。これは機関投資家が売りを仕込んだ場所であり、後に価格が戻ってきた際には戻り売りのポイントとして意識されやすくなります。つまり、過去に供給が強く出た水準は、再び強い売り圧力を生み出しやすくなります。
オーダーブロックは、機関投資家の取引痕跡を見抜き、その流れに沿って立ち回るための重要な手掛かりとなります。個人投資家が感情で動くのに対し、機関投資家は計画的かつ緻密に仕込みます。その痕跡を理解することが重要です。
強気OB(Bullish Order Block)
急騰前の最後の陰線群
機関投資家が買いを仕込んだポイント
将来的に押し目買いポイントになりやすい

弱気OB(Bearish Order Block)
急落前の最後の陽線群
機関投資家が売りを仕込んだポイント
将来的に戻り売りポイントになりやすい

機関投資家の仕込み戦略
ストップ狩り
「ストップ狩り」とは、機関投資家が意図的に相場を動かし、個人投資家の損切り注文(ストップロス)を狩るように約定させる動きのことを指します。
多くの個人投資家は、直近の高値や安値のすぐ外側にストップロスを置きます。これはリスク管理として自然な行動ですが、同時に「分かりやすい位置にまとまった流動性が存在する」ことを意味します。機関投資家はそれを熟知しており、あえてその水準を突いて相場を一時的に動かすことで、大量の注文を吸収できるのです。
たとえば、下降トレンド中の戻り高値の上にストップが大量に溜まっているとします。機関投資家は一度その水準を上抜けるように相場を動かし、個人投資家の買い注文や損切りを巻き込みます。その直後に売りを仕掛ければ、豊富な流動性を利用して本来の下降トレンド方向に大きなポジションを成立させることができるのです。
つまり、「ストップ狩り」= 機関投資家が流動性を確保するための必然的な行為と言えます。個人投資家にとっては「だまされた」「裏切られた」と感じる瞬間ですが、実際には機関投資家の戦略的な動きの一部なのです。
なぜ価格を下げて買うのか?
大量注文の影響を避ける
一度に買うと価格が急上昇してしまうため
有利な価格で取得
意図的に価格を下げて、個人の売り注文を利用
板の流動性を活用
注文集中ポイントを把握し、段階的に仕込む
OB形成の3ステップ
1️⃣ 初期仕込み
OB・FVG(第二回で説明)で少量注文
2️⃣ 押し目追加
価格が下落したタイミングで追加注文
3️⃣ 割増し注文
大きな陽線/陰線後、再びOB・FVGに戻ったタイミングで大量追加
フロー: 初期仕込み → 押し目追加 → 割増し注文

時間足の使い分け戦略
用途 ポイント
| 日足 | 機関投資家の主要仕込み確認 | 長期OBの特定 |
| 4H足 | 押し目・FVG確認 | 中期の微調整 |
| 1H・15分足 | エントリータイミング | 短期調整のみ |
重要ポイント
機関投資家は基本的にデイトレしない!
中期〜長期ポジションが基本
短期決済は少数派(ヘッジファンドの一部のみ)
日足・4H足中心で分析し、1H以下はタイミング合わせに使用
市場が活発な時間帯
ロンドン市場
16:00〜24:00(日本時間)
ニューヨーク市場
21:00〜翌5:00(日本時間)
個人投資家の生存戦略
個人投資家が機関投資家に対抗するのは不可能!
唯一の生存戦略は「彼らの思惑を読み、流れに乗ること」
機関投資家のまとめ
銀行、ヘッジファンド、年金基金、中央銀行
個人投資家の何百倍・何千倍もの資金を運用
急騰・急落やOB形成は機関投資家の動きの痕跡
まとめ
💡オーダーブロック = 機関投資家の仕込み痕跡
💡 中期〜長期が機関投資家の基本戦略
💡 日足・4H足中心の分析が重要
💡 機関投資家と同じ流れに乗ることが個人投資家の生存戦略
覚えておくこと
機関投資家に逆らわず、流れに乗る
オーダーブロックは押し目・戻りの絶好ポイント
時間足は目的に応じて使い分ける