【崩壊する安全神話】ヘッジファンド『ロング・ショート戦略』の穴
こんにちは、下山です。
投資は、資金力がモノをいう世界です。
たとえば資金30万円の個人投資家と
資金300億円のヘッジファンドが同じ土俵で、まともに戦えば、
「個人投資家には勝ち目がない」と誰もが思うでしょう。
いわば、ゾウとアリの戦いです。
ただし、現実には何が起こるか分かりません。
ときにアリが群れをなし、ゾウを倒してしまうようなことが
投資の世界で現実化します。
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ヘッジファンドの閉鎖
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先日、「ロンドンを拠点とするヘッジファンド
"ホワイト・スクエア・キャピタル"が閉鎖される」
とのニュースが報道されました。
ヘッジファンドの閉鎖はそれほど珍しい話ではありません。
しかし、こちらのヘッジファンドは、
あの"ゲームストップ株"を空売りして
大損したヘッジファンドということで市場がザワつきました
ゲームストップ株について、
あまりよくご存知でない方もいらっしゃると思いますので
先日のメルマガで紹介した内容を改めてお伝えしておきます。
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ゲームストップというのはアメリカのゲーム小売店です。
そのゲームストップの株価が、今年2021年の1月に突如大暴騰する
という出来事が起こりました。
20ドルにも満たなかった株価が1ヶ月たらずの間に
500ドル近くまで大暴騰しました。
テンバガーどころでは、ありませんね。
この事件の背景にはウォール・ストリートに対する
反感があったと言われています。
ゲームストップ株にはヘッジファンドによって
空売りが仕掛けられていて、
「ゲームストップ株をみんなで買って株価上げて、
ヘッジファンドに損させてやろうぜ」みたいな。
ネットの掲示板、レディット(Reddit)に集まった個人投資家が
一気にゲームストップ株を買いはじめました。
空売りを仕掛けていたヘッジファンドは大打撃を受けます。
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「ホワイト・スクエア・キャピタル」は
まさにこの大打撃を受けたヘッジファンドの1つでした。
そしてこの度、閉鎖が報道されました。
「ゲームストップ株によって生じた損失が原因で閉鎖するわけではない」
との報道もありましたが、ゲームストップ株によって
2桁パーセンテージの損失を出したようですから、
少なからず影響があったと考えるのが自然です。
個人投資家の圧力によって損失を被った
1つのヘッジファンドが閉鎖された、という事実は
歴史に残る事件と言っても過言ではありません。
個人投資家の下克上です。
時代は変化します。
そして、
今まであり得ないと思われていたことが
これからも起こるでしょう。
何事も「あり得ない」と
決めつけないことが肝心ですね。
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『ロング・ショート戦略』の穴
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ちなみに、一般的にヘッジファンドが
どのような戦略で売買しているかご存知でしょうか?
有名なのが、『ロング・ショート戦略』ですね。
ロング・ショート戦略とは、
買いと売りのポジションを両方持つ戦略です。
値上がりが期待される割安銘柄を買いながら、
値下がりしそうな割高な銘柄を同時に空売りする、
これが基本戦略です。
買いと売りを両方もつことでリスクヘッジをしているわけです。
たとえば売りポジションが大きな損失を出しても
買いポジションでカバーする、という感じで
どんな場面でも利益を残すことを意識した戦略です。
しかし、今回のゲームストップ株事件が
この戦略に大きな穴があることを証明してしまいました。
今回のゲームストップ株のように、
20ドルにも満たなかった株価が
500ドル近くまで暴騰するようなことがあれば、
他のポジションで含み益が出ていたとしても
カバーしきれないでしょう。
たしかに、ロング・ショート戦略によって
ある程度のリスクヘッジはできますが、
たった一度の暴騰や暴落によって
多額の損失を被る可能性を秘めています。
今までは考えられませんでしたが、
個人投資家に「空売り」を狙い撃ちされるなんてことも
起こり得ますからね。
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株アカデミーの手法も同類?
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「えっでも株アカデミーの投資手法も
両建てするから、似たようなものじゃないの?」
という方もいらっしゃるのですが、違います。
ロング・ショート戦略の場合、買いと売り、
それぞれのポジションについて異なる銘柄を選びます。
ですから、全てのポジションが
損失になる可能性があります。
しかし、株アカデミーの波乗り投資法は
1つの銘柄について買いと売りのポジションを持ちます。
ですから、大暴騰、大暴落が起ころうとも
必ずいずれかのポジションが利益になり、
ロング・ショート戦略より安全です。
もちろん、リスクゼロで利益が得られるわけではありません。
当然ですが、買いと売りのポジションを
常に同じ数だけ持っていたら
いつまで経っても利益は生まれません。
買いと売り、それぞれのポジションのバランスを
くずした時に初めて利益が生まれます。
ただ、含み損に対する対処法もありますので
株アカデミーの波乗り投資法は
極めて安全なルール設計がなされた手法だと自信を持って断言できます。
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利益よりリスク
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投資の世界には様々な手法があります。
誰がどんな手法を使おうとその方の勝手ですが、
自分が見ている限り、リスクから目を逸らして
堅実に利益を得ることをやめた投資家の中で
相場に生き残り続けた人間はただの1人もいません。
ですから、あなたが手法を選ぶ際はまず最初に
「利益がどれだけ得られる手法か?」
ということを考えるのではなく、
「リスクをどれだけ抱える手法か?」
ということを考えてみてください。
「一発で大きく稼いでやろう」
と一攫千金を狙っているような方には、
何を言っても無駄かもしれませんが、
リスクをきちんと把握し、
堅実に、着実に利益を積み重ねることを目標とし
トレードすることが実は利益への最短距離です。
それでは本日も最後までご覧くださり
ありがとうございました。
下山敬三